全国重症心身障害児(者)を守る会は、昭和39年6月に、児童福祉法からはずれ「世の中の役に立たず、社会復帰もできぬ子に金をかける必要があるのか」との声も聞かれる世相の中で「たとえどんなに重い障害があろうと、生命をもち、生きているのです。それなりに生き、育ち、伸びるこの子らを生かして下さい」と訴え発足し、今日に至っています。守る会は「最も弱いものをひとりももれなく守る」という基本理念に添って、施設対策と在宅対策の運動をすすめ、親の意識の啓発と連携を密にするため全国各地に支部を置き地域活動、施設活動を行っています。
また昭和41年に社会福祉法人を取得し、昭和44年には在宅心身障害児のために、東京都世田谷区三宿に重症心身障害児療育相談センターを設立、広く療育相談事業を実施しています。通園の「あけぼの学園」は、平成元年に東京都より重症心身障害児通園・通所事業として認可され、また昭和63年には隣接地に建設された世田谷区立三宿つくしんぼホームの運営委託を受けました。そして平成4年からは東京都立東大和療育センターを、平成8年には同分園よつぎ療育園と西部訪問看護事業部の運営委託を東京都から受けました。平成13年6月からは国立療養所足利病院の経営委託を受け、保健医療・福祉施設あしかがの森を開設。さらに平成17年12月、東京都立東部療育センターを東京都から受託し運営を開始しました。
このように本会では幼児から成人に至るまでの一貫した事業を実施し、社会福祉事業(第一種・第二種)のほか公益事業の運営など、広範にわたる事業活動を行うようになりました。これらの事業活動の根底には「この子らの生命を守り、わずかながらも伸びる姿によろこびを覚え、子どもとともに生き、この子らから学び、親自身が成長する」との精神が流れています。
こうして、社会の底辺にあった重症心身障害児者の福祉を訴え、医療を求め、教育を願い、ただひたすらにわが子の幸せを願う素朴な親の活動とその姿が社会のご理解を得、国を動かし、今日の重症児者福祉の施策を推進してきたわけです。私たちは、折しも国際障害者年(1981年)の第18回重症心身障害児者を守る全国大会において、受ける福祉を当然視し、親の責任を回避する姿勢を自ら戒めるため、親の会として、初めて”親の憲章”を採択しました。これからも新たな気持でこの子らを守りたいと思います。